毎年、事務室のエアコンの室外機の上に巣を作っているキジバトさん。今年もつがいでやって来て、子育てがはじまりました。
巣の中から、ちらっと見えるかわいい雛の姿。だいぶ大きくなってきて巣立ちの日も近いのではと思いっていたある日のこと、大事件が起きました。
急に空が曇り雨が降り出した頃、どこからかバサバサッという音が…。何の音だろうと外を見ていた先生が、草むらにうずくまるキジバトの赤ちゃんを見つけました。お母さん鳩の姿もなく、飛び立つ気配もありません。このままではびしょ濡れになってしまいます。
「すぐに助けてあげたいけれど、今触れてしまったら…。」
そこで、キジバトの赤ちゃんの上にテントを立てそっと様子を見守ることにしました。
しばらくすると、赤ちゃんはいなくなり、次の日にはちゃんと巣に戻っていました。どうやって巣に戻ったかは分かりませんが、またバサバサッと音を立てて飛び立つ練習を始めています。巣立ちの日も、もうすぐなのかもしれません。
巣から落ちてしまっても、何度も何度も飛ぼうとしているキジバトの赤ちゃん。私たちは赤ちゃんを飛ばしてあげることはできません。ですが、少しでも自分で飛び立てるようにと、あの日テントを立てました。もしかしたら、子育ても同じなのではないでしょうか。子どもがうまくいかないことや苦手なことを大人が代わりにやってあげるのではなく、子ども自身ができるようになるための環境をつくる。物的な環境だけでなく、「あなたならできるよ。」と信じる環境、そして「ここまでできたね。大丈夫。次もやってみよう。」と背中を押す環境が心の育ちの要となると思うのです。
巣立ちまであと少し。これからもそっと見守っていきたいです。